大判例

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東京高等裁判所 昭和25年(う)3521号 判決

原判決がその判示第一の四の事実認定の証拠として引用しているものは被告人の自白と安東信夫の被害届であるが、安東信夫は直接の被害者でなく、被害者は椙山豊治であること所論の通りである。しかしながら右被害届を見ると被告人は安東信夫を通じて右椙山豊治を欺罔し同人から直接金円を詐取しており、安東は椙山が詐欺にかかつたことについて自已の関与実験した事実を被害届として答申しているのである。故に同人の被害届は伝聞と見るべきものでなく又補強証拠として十分価値を認むべきものであるのみならず被告人等は右書面を証拠とすることに同意しているのである。被害届は通常被害者から提出せらるべきものであつて、第三者が被害の模様を見聞したところを答申する書面をも被害届というのが適当であるかどうかは一個の問題ではあるが、それは用語だけの問題であつて証拠力に影響あるものではない。なお右被害届は被告人の自白を補強するに十分であるから被害者椙山豊治を喚問しなくても審理不尽ありということはできない。論旨は理由がない。

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